阪モダスペシャル(その31) 〜奈良ホテル〜 2014/11/29-30
jpeg 【旧香港上海銀行長崎支店記念館】
2014年のお盆休みに行った「九州郷土料理の旅」。 この中に左の写真の「旧香港上海銀行長崎支店記念館」が登場したのですが...
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その「旧香港上海銀行長崎支店」の右横にあったのが、「長崎ホテル」です。
(写真:wikipedia/public domain)
jpeg 【長崎ホテル】
「長崎ホテル」は1898〜1908年のに存在した幻の豪華ホテル。設計はジョサイア・コンドル先生です。 ジョサイア・コンドル先生は三菱一号館や鹿鳴館等を設計されました。 工部大学校(現・東京大学工学部建築学科)の教授として辰野金吾ら、創成期の日本人建築家を育成された日本モダニズム建築の父といわれる人です。
写真の左がそのホテル。そして、右上は年表です。下の写真で拡大します。
右下の「〜調査〜」した続きのお話はのちほど。
jpeg 【長崎ホテル→奈良ホテル】
写真のとおり「奈良ホテル」が誕生しました。この設計者はコンドル先生の弟子、工部大学校の一期生である辰野金吾さんです。 辰野金吾さんは東京駅や日銀本店/支店いろいろ、大阪の中央公会堂等を設計された人です。
長い前置きでしたが、今日はその「奈良ホテル」を堪能する阪モダスペシャルです!
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2014.11.29。奈良ホテルへやってきました。辰野金吾さんは東京駅が代表作品です。関西では中之島の中央公会堂が有名です。 どちらも辰金様式(世間では辰野様式)で、作風は理解しやすいのですが、このホテルは似ても似つかない和式です!
奈良ホテル(1909年10月17日)よりも先にできた奈良国立博物館(1895年)は洋風建築で奈良の景観にそぐわないと不評だったそうです。 それで、洋風建築を建ててはダメという条例がでできたようです。それを受けて辰野金吾さんは奈良ホテルを和風で設計せざるをえませんでした。
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ですので、ホテルのロビーにはこんな変なマントルピースがあります。ドイツ製のマントルピースが鳥居に囲まれている!
意味がわからないのですが、ホテルの方は洋風建築が理解されないことに対する皮肉が込められているのではと言ってはりました。
左上の絵は「花嫁」(上村松園)です。昭和10年の観光日本宣伝に使われたこともあって3億円の名画だそうです。ええっ!マジか。さっ、三億!
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フロント。
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しばしホテル紹介です。先ずはロビー前の階段を登ります。
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踊り場にはこんな銅鑼(どら)。昔はお客様への食事合図や、戦時中は空襲警報としても使われたそうです。
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吹き抜けから見たフロント。写真ではよくわかんないですが、フロントの時計と金庫がすんげぇレトロ。
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登りきったところにある吹き抜けの廊下。シャンデリアがすばらしい!
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おんなじところでオードリーヘップバーンさんも写真を撮られたようです。
ところで、手すりの擬宝珠(ぎぼし)、当初は真鍮(しんちゅう)製だったそうです。 ですが、第二次世界大戦中に供出させられてその後は焼き物となったそう。 でも今ではそれの方が有名になっているそうです。奈良の伝統工芸、「赤膚焼(あかはだやき)」です。
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大塩正人窯という有名な窯。この擬宝珠は7代目の作品だそうです。
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本館の部屋です。100年の歴史を感じる素晴らしいお部屋。窓がすばらしい!ガラスも古いムラのあるそれです。
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窓からの景色は紅葉真っ盛り!
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もともとは全室にマントルピースがあるのですが、天皇陛下がご宿泊された際に火災を懸念され、セントラルヒーティングを導入されたそうです。 廊下や部屋にこのオイルヒーターがあります。風呂場にもありました。
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今は使えない部屋のマントルピース。
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お風呂。ここはまぁ普通です。アメニティは資生堂。
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また一階のロビーです。
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ロビーにあるこのピアノ、実は....。
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アインシュタインも弾いたのです。場所もココです。
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ピアノといえば1922年製のスタンウェイもありました。超美しい色でした。 マホガニーレッドという色だそうです。
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「美人舞妓」(中村大三郎)は日本料理「花菊」内にあります。
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横山大観。うちわの原画だそう。すぐ横に川合玉堂のそれもあります。
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宿帳。当時から日本人もローマ字表記していたらしい。え、我々は漢字で書いたけど。
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ホテル年表の写真も記録に撮ってきました。
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そうこうしているうちに18時のディナータイムになりました。
その前にこのブログ3枚目の写真の「〜調査〜」のお話しから。
たった10年しか営業しなかった幻の長崎ホテル、そのホテルの食器が奈良ホテルで発見されたのです。
【日経新聞記事】明治時代の長崎ホテルの金銀食器1600点、奈良で発見
(魚拓)

というわけで、今夜はこの食器を使ってご飯が食べられるイベントディナーなのだっ!これが阪モダスペシャル!「NHL」と「JGR」のエンブレムがついた食器が出てきます。
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それではディナーいってみよー!
奈良ホテルのメインダイニング「三笠」です。なんともレトロ。軽井沢の万平ホテルにも引けを取らないダイニング!
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ここから阪モダスペシャルディナーです!窓の外には五重塔がライトアップされています。
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このお皿にある「NHL」のマークがそれです。長崎ホテルリミテッド。 長崎ホテルが廃業した際に、イニシャルの入った食器は売れ残ったそうですが、 奈良ホテルと同じイニシャルのため、辰野金吾が引き取った?との説も。
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「NHL」のマーク拡大。
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そして長崎ホテルの金銀食器。
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イギリス「mappin&webb」社製です。ひゃーっ。高そー!
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ワインはソムリエチョイス。ナパの'RUTHERFORD Cabernet Sauvignon'。 デキャンタージュしてもらいました。
それにしても、普段の生活ではこのワイン高すぎと思う値段がここでは一番安いので困ったものです。 生活レベルが合致していないことを実感。
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さすが奈良!メインは子鹿フィレ肉のステーキです!
うそ、牛肉でした。鹿はあんなにたくさん居るのにねぇ。ジビエの旬な季節やのにねぇ。
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デザートにはサプライズが!
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なんと床のチョコ一面にNHLのマークが!!すごい!楽しませてくれます!
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食後、腹ごなしに庭内をお散歩です。紅葉もライトアップされてとても美しかったです。 朱色に塗られた欄干は、実はオリジナルではなく、第二次世界大戦後の昭和20年にアメリカ軍に接収され、 アメリカでは白木は不潔とされ木部を全てペンキで塗装するよう指令があったらしい。辰野金吾の趣味ではない!よかった。
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このホテルのラウンジのバーテンダーには世界3位のパフォーマーがいるらしい(この方かどうかは不明)。 もうシェークというより痙攣!
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というわけで、ホテルオリジナルのカクテル「マントルピース」をいただきました。
カクテルと外の紅葉とママがとても美しい赤でした。よいしょっと、お休みなさい。
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次の日。朝食は「三笠」の名物、茶粥です。
jpeg 【奈良ホテル】
うまっ。テーブルに梅干しと潮吹き昆布がたくさん置いてあるのですが、かっこわるいからアホほど食べるなとママに怒られました。
全部食べる勢いでしたが。残念。
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天皇陛下もこの季節に来られたのですね。
jpeg 【奈良ホテル】
というわけで、同じ場所でポーズ。
jpeg 【春日大社】
食後はぶらぶらと奈良観光です。
jpeg 【春日大社】
紅葉を見ながらの善哉は格別!
jpeg 【東大寺】
大仏殿です。
jpeg 【東大寺】
やっぱりでかいなぁ、平城京。
jpeg 【東大寺】
というわけで、阪モダ31スペシャルもおしまい。奈良は自宅から高速道路を使わずに1.5時間で来れます。 もちろん泊まりで来たのは初めてです。コンドル先生/辰野金吾の世界がこんなところで楽しめることを知って3ヶ月前ぐらいに企画しました。 ホテルもそういう趣味の人のことをよくわかっていて、こんな食器を使ってくれるプランを用意してくれているのです(周りの人と同じメニューでも食器が違う)。 あちこち旅行に行っていますが、こんなにホテルを楽しんだのは初めてですし、とても満足できました。
クラシックホテルを楽しむというカテゴリー、熟年の楽しみ方ですね。これからも続けていけそうです。

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